予定のない日曜日は決まって早朝に近くに釣りに行く。前の晩から少し作戦を考え、釣れなくてもいいから朝の空気を吸いこみゆったりした時間を過ごせればいいな、と家を出る。
しかし人間というのはあさはかな生き物で、釣りを始める頃にはもうそのことを忘れているのである。
薄暗い中うっそうと茂る草をかきわけて歩くと、ゴミ。水辺にも、ゴミ。何物か確認したくはないので凝視はできないが、誰かがそこへ捨てたもの、増水時に流されてきたもの、であろう。
糸を結んでいざ水面にむかうと、にわかに頭も心も勇みだす。潮、流れ、障害物、何処に何でどう攻める?アタリの感触を思いだし期待する。そうして一投目からミスキャストしてしまうのであろう。
環境と欲望で簡単に人の心は変わるものだとつくづく思い知らされるのである。
帰り道、部活動で登校する高校生たちを見て思ったことがある。不純で不潔で腐敗した大人は、小学校の運動会を観に行くといい。大きな子も小さな子もまじめそうな子もやんちゃそうな子も、みんな一生懸命やっている。件の大人たちはきっと心を打たれるにちがいない!
さてビールを飲みながらひと仕事して煙草をくゆらせたら、穏やかな日曜日のスタートである。